松多ゼミ
1 ゼミ選択のポイント
ゼミを選ぶのは、その後の自分の人生をも左右する可能性があるとても重要な事です。松多は二つのポイントを重視するべきだと思います。一つは教員の研究の内容です。多くの教育学部ではその分野の教員は一人しかいません。幅広い分野を担当するので、自分が研究したいと思う内容を教員が十分にフォローできるか、教員が卒論で何を求めているのかを十分に把握しましょう。先輩の卒論のタイトルなどは参考になるかと思います。もう一つのポイントは教員との相性です。ゼミでは教員と接する機会が増えます。相性の合わない教員や尊敬できない教員を選ぶと学生も教員も不幸です。
2 松多ゼミ
松多ゼミは学生と教員の距離が近いのが特徴です。僕の理想は住込みの徒弟制です(もちろん住込ませたりはしない)。一見、アットホームで楽なように思いますが、学生を一人の大人として扱い自主性を重んじるので、自己管理をきっちりする必要があります。僕は自分の学生の将来にとって何がプラスなのかを考えて行動しているつもりです。せっかく出会ったのだから、自分の経験を伝えたいと思うし、出会えてよかったと思える関係であることが理想です。僕は自然地理学の基礎勉強以外の強制はしませんが、距離感が近いことが苦痛な人や学生と教員の間に垣根を作る人は向かないように思います。
卒論は与えられるものではなく、勉強をしながら自分で見つけるものだと思います。その手助けはします。地理学はよいデータをとれば、卒論でも価値ある研究ができます。したがって、可能ならば学会誌に載せることができるレベル、少なくとも学会発表ができる内容を要求したいと思います。基礎的なトレーニングをする時間がないので、自然地理学系の授業はすべて取ること、場合によっては大学院の授業にも参加することを勧めます。加えて、野外実習は3,4年の二回参加、月一の巡検にも可能な限り参加をしてもらいたいと思っています。これらを通じて、自然地理学を体感すること、自然地理学の思考を肌で感じることをしてもらいます。一見大変そうですが、地理学が好きならば、満足できるようにしたいと思っています。
松多ゼミでは「そもそも。。」ということを大事に思っています。既存の常識にとらわれることなく、物事の本質を考え、俯瞰的に物事をとらえていくことを目指します。
僕が教えられることには限りがあります。そのため、必要に応じて他大学や他分野の先生の調査に学生が参加し、いろいろな研究者の見方や考え方に触れる機会をつくりたいと思っています。現場で何を見て、どこを測り、何を採るかは、教科書を読むだけでは分からないところもあります。そうした経験を積みながら、自分の問いを持ち、自分でデータをとって考えられるようになってほしい。僕のところを離れた後も、自分で考え、必要な人と相談しながら研究や仕事を続けられるようになってほしいと思っています。

3 最近の研究と活動
台湾の活断層
僕の研究の中心は、日本や台湾の活断層と地殻変動です。台湾東部の花東縦谷断層では、同じ場所で水準測量を繰り返し、地震の前後で地面の動きがどのように変わるのかを調べています。普段からゆっくり動いている断層が地震のときにどう動くのか、その後どう変わっていくのかに興味があります。
能登半島地震後の地形の変化
能登半島では、2024年の地震で大きく隆起した海岸や、隆起後に変わり続ける河川を調べています。土地の高さが変われば、海岸や川もそれに応じて変わっていきます。こうした地形の変化と、漁港や河川施設、地域の生活への影響を結び付けて考えています。
神城断層の地形と地下構造
長野県の神城断層では、地表に残る地形や地層の変形と、地下の断層の構造がどのように関係しているのかを調べています。地形・地質の調査に重力探査や反射法地震探査などを組み合わせ、過去の地震や断層の動き方を考えています。
高松山の土石流と土砂の移動
広島市の高松山では、2014年の豪雨で起きた土石流を対象に、山からどれだけの土砂が動き、どこにたまったのかを調べています。災害前後の地形を比べ、削られた場所と土砂がたまった場所の体積変化を測っています。さらに、重力探査で調べた地下の密度構造と、現地で測った堆積物の密度を組み合わせ、土砂の重さからも移動量を考えています。災害のときの土砂の動きと、長い時間をかけた山麓や扇状地の成り立ちを結び付けたいと思っています。
造山古墳の地形と地下構造
岡山市の造山古墳では、重力探査を使って、古墳の内部や周辺の地下構造を調べています。もともとあった地形をどのように利用し、どこを削り、どこに土を盛って古墳をつくったのかに興味があります。地面を掘らずに地下の密度の違いを調べ、地形や発掘調査の結果と見比べることで、自然の地形と人が手を加えた部分の関係を考えています。
地域の成り立ちと防災教育
真備や操南では、その土地がどのようにでき、人々がどのような工夫をして暮らしてきたのかを調べ、地域理解や防災教育につなげる活動をしています。地域を歩き、新旧の地図や資料を見比べ、地域の人の話を聞くことで、普段見慣れている風景にも意味があることが分かります。操南地区では、地域を題材とした防災すごろくなどの教材づくりにも取り組んでいます。
僕は、危険な場所を知り、命を守る判断につなげる「生存知の土地勘」と、先人が水や食料を確保し、その土地で暮らしを成り立たせてきた仕組みを知る「生活知の土地勘」の両方が大事だと思っています。昔の暮らしを知ることで、今の生活を支えているものや、それが使えなくなったときに何が困るのかも考えられると思います。学校や地域で生まれた疑問も、研究に持ち帰って考えていきたいと思っています。
4 授業について
以下の授業は必ず取るようにしてください。
中等社会科内容論(自然地理学Ⅰ)、中等社会科内容論(自然地理学Ⅱ)、中等社会科内容論(自然地理学調査法Ⅰ、Ⅱ)、中等社会科内容論(地理学演習)
博士3年 小森弘毅
修士2年 堀 裕加里 、 任佩燁、太田 麗
修士1年 浅井 俊彦、滝本真也、玉井健登、三宅翔大
学部4年 赤木七花、高橋健生、宮崎秀也
学部3年 清水睦月
OB・OG:
平成28年度
角野 太河、寺本 結哉
平成29年度
高山 正教、堀川 菜々美
平成30年度
梯 壱成
令和元年度
川上 賢太、洪水 麻里、西山 弘祥、久本 侑奈、三笘 加葉、和田 祐佳
令和2年度
丸山 雄大、池田 晶、亀岡 平、細川 和馬、藤井 悠平
令和3年度
西山 弘祥、陳 侃、小林 茉由、高井 大輔
令和4年度
瀬戸口朋菜、橋本 伊織里、白銀美里
令和5年度
中村友哉、上岡皓陽、太田麗
令和6年度
白銀美里、髙藤 隼弥、浅井 俊彦、田村 陸叶
卒業後の進路:
教員10名(高校4名、中学校1名、小学校8名)、公務員6名、進学6名、民間企業4名
卒論テーマ:
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河成段丘からみる津山盆地の地形発達
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水位痕跡から見る西日本豪雨の真備地区での河川の氾濫
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大規模な河川改修工事に伴う住民の移転と生活の変化〜高梁川第一期改修工事を例に〜
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瀬戸内地域における最終氷期の東西分水嶺 ー淡水魚類相の形成過程をもとにした考察ー
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静岡県菊川低地における浜堤列平野の形成過程と地殻変動の関係性
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高梁川・小田川下流域における過去100年間の土地利用変化
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岡山平野の発達史
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災害時における住民の避難に至る意識の変動 - 平成30年西日本豪雨倉敷市真備町を例に-
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安政東海地震の富士川断層の地殻変動
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徳島県における活断層近傍の建築規制条例が与える影響
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高等学校地理における防災教育の現状と課題
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日本国内における浜堤平野の分類と太平洋岸に分布する浜堤と地殻変動の関係について
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北丹後地震における建物の倒壊と人的被害について
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ジオパークの教育的実践例とその特徴
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岡山県並びに四国地方の集落立地の地形特性
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大田地区におけるイベント堆積物の発見と検討
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地形が与える中・近世城郭への影響について
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更新世段丘を用いた完新世における地殻変動の特徴
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日本の学校教育現場における防災教育の実践動向の変化ー時間的・空間的広がりに着目してー
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糸魚川―静岡構造線北部神城断層における詳細地形計測を用いた微地形発達史の考察と古地震イベントの変位量復元
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稠密重力探査による岡山平野の最終氷期埋没谷調査
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地域経験を通じた地域愛着の形成と行動化ー石川県輪島市の学齢期の経験と被災後の復興活動の分析ー
修論テーマ:
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「戦後の山地の変化に対する河川の応答について」
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マイクログラビティ探査より検出された埋没地形を考慮した菊川低地における完新世の地形発達史と地殻変動
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日中台の小中学校における防災教育の差異・変化と現場の課題
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能登半島北西部八ヶ川南部の地形発達と地殻変動